愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

『こちらの庭園は素敵ですのね』

 ミシェルも気に入っていた場所……。


 こんな感情を持ち合わせたままプリシアと過ごす事になる。
 ある日、兄と婚約者のブリジッド嬢が、親睦を深める為のお茶会を開いてくれた。


「第三王女殿下、気に入ってくださると良いのですけれど」

 ブリジッド嬢が茶会を仕切ってくれた。


「ブリジッド様、王太子殿下、私のことはどうぞプリシアとお呼びください」

「光栄ですわ! プリシア様」


 場はブリジッド嬢が和ませてくれる。さすが公爵令嬢で将来の王妃になる方だ。 


「ジュール様のご趣味はなんですの?」

 プリシアに聞かれるも、趣味? なんだっけ、いつも何してたんだろう……。

「趣味? なんだろう……ごめん、分からない」

「ジュール殿下、お仕事ばかりではダメですわね。もっといろんなことに興味をお持ちくださいな。プリシア様と外出をなさってみてはいかがかしら?」

 ブリジッド嬢がフォローするように答える。

「今度ジュール様のお気に入りのお店に連れて行ってくださいまし。ゆっくりと王都の街を散策したいですわ」


「お気に入りの店? そういえば最近は街に行ってない……な」


「街には新しい店が出来ている。今度二人で散策しに行くと良い。若いメイド達は流行りに敏感だから教えてもらうと良いよ。私達もよく参考にしているんだ」

 兄上がフォローしてくれた。



 なんだろう、この虚無感。


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