愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

渾身の淑女の礼で退出

「仕切り直してお茶を入れ直しましょうか?」


 何もなかったように笑顔で話をする王妃様……私の知っている優しくて穏やかな王妃様ではなかった。 


 いえ、優しくて穏やかなんかではなかったのかもしれない。王妃様の表の顔しか知らなかったのだ。


 ジュール殿下との関係は婚約者が決まるまで……そこに私たちの感情なんて必要がないから。


 分かっていて甘い夢を見させられたのだから。

 大人の事情に巻き込まれ、この先の未来まで……残酷だ。そう思った。



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