もう、秘密になんて出来ないっ!

赤みと痛みが残る左頬をかばうように買っていると、視界の隅の方でこちらをチラチラ見ている女のグループを捉えた。

なんか嫌な予感がするので、見なかったことにしてラーメンをすする。

すると賢太郎も女達の視線に気付き、

「おい。なんかあそこにいる女子たち、お前のことガン見してねえ?」

コソコソっと耳打ちしてきた。

「無視だ、無視。ったく、飯が不味くなる」

「お、こっち来るぞ」

「あ、あのっ…。本郷、くんっ」

賢太郎の言葉が合図のように、女達のうちのひとりが俺に言葉を掛けてきた。

俺はもちろんそれに応える事なく、ラーメンを食べ進める。

「…、本郷くん…?」

まるで自分の姿が見えていない、声が聞こえていないかのような俺の態度に女は動揺しているような声をだして、もう一度俺の名を呼んだ。

「あ、ごめんね、コイツいつもこんなんだから。漣に何か用?」

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