最強総長の愛するボディガード
あの時の衝撃は今でも忘れられない。
でももっと酷かったのは、そのあとの父の反応だ。
「瑠奈が言っていることは嘘だから弁明しようと思ったんですけど、父なら私の話もちゃんと聞いてくれるだろうと父の言葉を待っていたんです。そしたら父は、瑠奈のことは全く疑わず私を叱ってきて。それだけでもうこれから何を言ったって信じて貰えないと分かった私は、本当のことを打ち明けるのを諦めて、その後も瑠奈がミスをする度に瑠奈の代わりに罵声を浴びました。私の方が瑠奈よりも実力があるのは確かなんですけど、母にも無能だと言われるようになってから、洗脳みたいに自己肯定感が下がってしまったんだと思います」
黙って聞いてくれている蒼凰さんは、この話を聞いて何を思ってるんだろう?
諦めの早い私にガッカリしたかな……
そう勝手に想像して胸に痛みを覚えながらも、私は話を続ける。
「それでもやっぱり悔しくて、私は瑠奈が遊んでいる間もずっと鍛錬してきました。でも父はそれすらも知らないから、今年の四月、私を呼び出して言いました。この任務を失敗したら、お前には涼宮を出ていってもらう、と。そして今に至ります」
「……だからさっき、この任務は最後までやり遂げたいって言ったの?」
「……はい」
話を終え、蒼凰さんの反応を恐れる。
鍛錬してきた、なんて言って今日ヘマしちゃったんだし、蒼凰さんにも無能なんて言われてしまうかな……