最強総長の愛するボディガード
私は、蒼凰さんがガツンと言ってくれたからか、もうお父様には何も感じなくなっていた。
ただ、スッキリしている。
だから私は蒼凰さんの背中を手で押して、さっさとその場を去ろうとする。
すると蒼凰さんは足を止めて振り返り、お父様に言う。
「あ、今すぐ洗ったら落ちると思いますけど、一度血で汚れた絨毯がお嫌でしたら、請求はうちへお願いしますお義父さん」
「っ……なんということだ……」
「心羽ちゃん、行こっか」
「はいっ」
そうして私たちは、崩れ落ちるお父様を尻目に書斎を後にした。
蒼凰さんの手にハンカチを巻き、血が垂れないようにしたら、私たちは救急キットのある私の部屋まで向かった。
到着した瞬間、私は蒼凰さんの手の切り傷を手当し、なんとか悪化を防ぐことに成功する。
出血量多かったけど、もう大丈夫そう。
良かった……
安堵する私に、蒼凰さんは言う。
「ありがとう心羽ちゃん」
「もうっ、二度とこんなことしないで下さいねっ」
「うん、ごめんね。じゃあ……」
私たちは、これからも共に歩いていく。
護衛対象とボディガードではなく、仲睦まじい恋人同士として。
「帰ろっか、俺たちの“家”に」
「……!はいっ」