最強総長の愛するボディガード
あの時は他人事だったけれど、今回は違う。
俺に話しかけてくれて、俺と仲良くしてくれた彼女がいじめられているのだ。
俺が彼女を守らなければ。
そう直感した。



「ねぇ川名くん、私、どうすればいいのかな……っ」



近くにいた俺がもっと前から気づけていれば、彼女はここまで苦しまなかったのではないか。
涙が止まらない彼女を見て、ふと、そう思った。
その贖罪として事足りるのかは分からないけれど、俺が身をもって彼女を守ってみせる。
だから大丈夫だと、俺は彼女を抱きしめる。
すると彼女は、



「川名くん、ありがとう……っ」



と、消え入りそうな声で言った。



それから俺たちは、周りになんと言われようと学校の中ではいつも一緒に過ごした。
幸いいじめてくる女子たちが隣のクラスだったことにより、同じクラスである俺と彼女の間に女子たちが入ってくることもなく。
彼女への害は減り、彼女もよく笑うようになった。
だからだろう。
俺はしっかり彼女のことを守れていると、錯覚してしまったのは。



まだ陰口はあるものの、比較的平和な学校生活を送れるようになって二週間経った放課後。
俺は、委員会に入っている関係で先生に呼び出されていた。
と言ってもいざ行ってみれば用事は十分ほどで済み、俺は職員室から玄関へと向かう。
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