最強総長の愛するボディガード
その女は先程の宣言通り看病をしてくれて、作ってくれたお粥は本当に美味しかった。
美味いと言ったら、その女は



「!良かったですっ」



と本当に嬉しそうに喜んで、俺も、ただ美味いと言っただけなのに俺の言葉でこんなに喜んでくれるのかと、嬉しくなった。
俺がお粥を完食するのが早すぎるとびっくりして、俺の両親の話をすると申し訳なさそうに凹んで。
表情がコロコロ変わるそいつに、心羽に、俺はいつの間にか見惚れていた。
そして、この数十分のうちに生まれたこの気持ちが何なのか、俺は知らない。
けれど、心羽に名前で呼ばれたい、心羽のことをもっと知りたい、という欲は悪いものではないと、確信出来る。



──────



風邪のせいで体はだるく、もっと寝るつもりでいたのに、俺はスマホの着信音で目を覚ます。
スマホはどこかと辺りを見回すと、俺の右側に至近距離で眠る心羽の姿があった。
床に座りながらベッドに腕を乗せ、自分の腕を枕にして眠っていた。
とても寝心地の良さそうな体勢では無い。



ってかコイツなんでここで寝てるんだ……?
風邪移るだろ……
いや、それならもうお粥作ってる時点でアウトか。
それでスマホは……



心羽を起こさないように音のする方を見ると、スマホは心羽の足元に横たわっていた。
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