最強総長の愛するボディガード
俺は、蒼凰の顔面目掛けて殴りかかる。
でもその拳はパシッと片手で止められてしまい、不発に終わる。
母親の愛……だと?
「愛を誰よりも分かっていないお前に、それを言われる筋合いはない」
そう言い返すと、蒼凰の顔からは笑顔が失われ、瞳は冷たい視線を生み出すものに変化した。
「っ……お前の方こそ、お前がアイツに求めてんのは空っぽな自分の心を埋めるための材料だろ。そんなだからお前は汚れていくんだよ」
「……」
黙ったままの蒼凰。
このままこいつに拳を握られていてもいい気がしないので、俺はその場を立ち去った。
一人残された蒼凰が、
「俺だって、自分が分からないんだ……」
と呟いていたことも知らずに。