最強総長の愛するボディガード


もし本当に泣いていたのだとしても、自覚のない私は言う。



「ううん、雨じゃないかな?」
「……そうか。風邪引くから、戻るぞ」
「あ……でも私、今はちょっと……」



きっと1005の部屋には、蒼凰さんも心さんもいる。
だから戻りたくないんだけど……



浮かない顔をする私に、彰人は言う。



「……なんか勘違いしてねぇか?俺が言ってんのは、俺の部屋に戻るってことなんだけど」
「あれっ、そうなの?」



というわけで、私と彰人は702の部屋へやってきた。
彰人がタオルを貸してくれて、雨で濡れた服や髪を拭く。



「てか真夏なのにスーツって暑くねぇ?」
「暑いけど、慣れてるから大丈夫だよ」
「ほんとかよ……俺なら熱中症で死ぬかもな」
「ちょっと!縁起でもないこと言わないでよっ」
「ふっ、悪い悪い」



全くもう……
だけど、さっきの今だからかな?
なんだか、彰人といると落ち着く……

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