最強総長の愛するボディガード
「……でもあの女が特別って言ってたのは……」
「プルルルルッ」
その時、私のスマホから着信音が聞こえてくる。
手に取って見てみると、かけてきたのは蒼凰さんだった。
どうしようかと迷っていると、彰人が私のスマホに手を伸ばしてきた。
そして手で画面を覆うようにスマホを持ち、
「出るな」
と。
ほんの少しだけ触れる、私と彰人の手。
金縛りにあったかのように、彰人と合った目が離せない。
私は何故かこの沈黙を断ち切らないといけない気がして、慌てて言葉を発する。
「でっ……でも、出た記憶無いのに一か月前くらいにも蒼凰さんからの着信があって、だから出ないとっ」
「……あん時のか……」
「え?」
「いや、なんでも」
電話がかかってきてから結構時間が経っているから、急いで応答ボタンを押す。
「もしもしっ」
『あ、心羽ちゃん?今どこにいるの?』
そう尋ねてくる蒼凰さんの向こうには、心さんの声も入っていて。
っやっぱり、一緒にいるよね……
心さんは蒼凰さんの特別なんだもんね……
あまり晴れない胸中で返事をする。
「彰人の部屋にいます」
すると突然、蒼凰さんは冷たい声で言う。
『……彰人より俺がいいなら、そう言ってよ』
「え……」
そこで、スマホはテロンッと言って切れてしまった。
あ、切れちゃった……
でも……どうして怒ってるんだろう?