来る日も来る日もXをして
「むごっ!?」

無表情だった東雲くんの顔がコミカルな表情に変わる。出入り口の前に立ちはだかった私が彼のマスクに手を突っ込み口におにぎりを押し付けたからだ。

「お昼ならこれ食べて。すぐミス処理にとりかかって。」

自分でも驚くくらい冷えきった鋭い声だった。まるで氷柱のようだ。先程倉庫で私を脅していた東雲くんの目も動揺している。皆の視線が痛い。

「責任とるって言うなら逃げないで。うちのグループ、ミーティングなの。終わったら部長に聞いて私に出来ること手伝うから。」

そう言うと東雲くんは後ずさりするようにし、ふてくされた様子で席についた。

(すずな)、悪いけど私達なしでミーティングしてくれない?明日くんもいないから大変かもだけど。後で議事録見るから。」

出入り口に残された私に少しホッとした様子の部長が声をかけてくる。

「はい。わかりました。」

「悪いね。頼んだよ。」

部長は眉をハの字にしてそう言うと慣れない憤怒に疲れた様子の社長を座席に座らせた。私も我に返ると自席に戻り呆然とした様子の美彩(みあや)ちゃんと共にミーティングルームに向かう。東雲くんは口をもぐもぐ動かしながら面倒くさそうにパソコンを操作していた。


ミーティングが終わり戻ってくると部長が東雲くんに厳しい表情と口調で指示していた。部長の後に渋々ついて歩いていく東雲くんがチラリとこちらを見て目が合うと、彼はなんだか切なげな表情に変わり立ち止まる。

───どうしてそんな顔・・・?

わからないまま見つめ合っていると『行くよ。』と部長に急かされ東雲くんは慌てて私から目を逸らし彼女の後に続いた。
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