来る日も来る日もXをして

子どもになってしまう原因

火曜日。人けのないコインパーキング、外出先の車の中でのキス。

勤務時間中の社用車の中でこんなことしちゃダメだと思いつつ、その背徳感でドキドキしてしまった。唇を合わせるだけのキスにかわりはなかったが、今までより明らかに長かった。

───そこに何らかの意味は・・・あるわけないない!

慌てて両手のひらで頬をペチペチ叩いていると、明日(あけひ)先輩に『更科(さらしな)?』と声をかけられ焦る。

「あ、あの!先輩はいつから子どもになったんですか!?夜中の12時までにキスしなくちゃいけないってどうしてわかったんですか!?」

「急に子どもになった時は驚いたよ。夢だと思ったのに、寝て起きてもまだ子どもだった。」

「もしかして年末年始ですか?先輩、予定よりだいぶ長くお休みしてましたよね?」

「そう。あの時は迷惑かけたな。」

「いえいえそんなこと。先輩が企画した福袋の売れ行きがすごくて、皆喜んでました。」

あの頃はまだ先輩のことを嫌いだったけれど、やっぱり実力あるんだなぁと思わずにはいられなかった。

「年末年始ばあちゃんと海外旅行に行って帰ってきた翌日だった。その翌日起きても子どもで、1日も早く大人に戻らなきゃって、ネットを調べまくった。でもネットには情報がなくて、有名大学の図書館に行っても子どもだから入れてもらえなくて、絶望したまま街を歩いてた。吸い込まれるように入った古本屋でたまたま手に取った本に書いてあったんだ。」

「キスをすると戻れるって?」

明日先輩は運転しながら無言で頷いた。
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