来る日も来る日もXをして
目を覚ますと東雲くんはいなかった。カメラは回収されている。

服を着て廊下に出ると話し声が聞こえてきた。テレビや動画かな?と思ったがそれは私と東雲くんのやり取りだった。先程の映像を再生しているのだろう。恥ずかしくてたまらず必死で探し回ると音声が聞こえてくる部屋がわかりドアを勢いよく開ける。

「やめて!観ないで!」

「どうしてですか?こんなに気持ち良さそうなのに。ほら、ここもこんな風にしちゃって。」

私が恥ずかしい体勢をしているところで映像を止め、画面のその部分に指でいやらしく触れる。

「やめて・・・お願い。」

「更科さんが寝ている間、ずっと観てたんです。だってまだまだこれからって時に気を失うんですから。早過ぎますよ。罰として一緒に最初からこの映像見てください。」

「ええっ!?」

「嫌なら今から続きしますか?」

耳元でそう言われ、全身が羞恥心でいっぱいになる。

「・・・観ます。観させてください。」

「素直でいいですね。じゃ、こっちの椅子に座ってください。」

それは拷問だった。恍惚の表情を浮かべ恥ずかしい声を上げる自分を客観的に観なければいけない。その私の姿を見て東雲くんは満足そうだった。こんなのとても耐えられるものではない。思わず目を背けてしまう。

「ちゃんと観てませんね。」

「み、観てるよ!」

「ちゃんと観てなかったら・・・わかりますよね。更科さんだけの問題じゃないですよね?」

そう言って東雲くんは意味ありげにスマホをゆっくり振った。

「わ、わかったから。」

私は意を決して顔をぐっと上げた。
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