来る日も来る日もXをして
「見えるわけないでしょ!厚手のタイツ+もこもこショーパン履いてるんだから!透視でもできるわけ!?」

もこもこのショートパンツは明日先輩に『毛糸のパンツを履け。』と言われて履き始めたものだ。

「その『もこもこショーパン』が見えてるって言っただけですよ。いちいち騒がないでください。」

そう言ってにやりとする。なんて人だ。

「も、もう、あっち行ってよ。探し物してて忙しいんだから。お昼休み終わっちゃう。」

「こんなとこでコンタクトでも落としたんですか?諦めた方がいいですよ。」

「違う!四つ葉のクローバー探してるの!」

「四つ葉のクローバー・・・って実在するんですか?ファンタジーかと思ってましたけど。」

「あるよ!探してる人がいるの。」

「は?人のために探してるんですか?」

「そうだよ。」

「本当、更科さんて理解不能ですね。人のためにせっかくの昼休み無駄にして、このクソ寒い中ここにあるかどうかもわからないものを疲れる体勢でパンツ丸出しで探してるなんて。」

「だからショーパンが一瞬見えただけでしょ!?それに昼休み無駄になんかしてないし。」

「そんなに大切な人なんですか?」

「こないだの金曜日に初めて会った人だよ。」

会話をしながら目では四つ葉のクローバーを探している。

「真っ赤っ赤の他人じゃないですか。相当な金額で売らないと割に合いませんね。」

「売るわけないでしょ。」

「うわータダ働きとかまじ引くわ。ボランティアってやつ?自分の存在価値上げる為にするやつですね。トリハダ立ってきた。」

東雲くんは身を縮めている。

「そのへん探したいからどいてくれる?」

彼と言い合うことこそ時間の無駄だと思った。

「ショーパンとタイツの下見せてくれたらどきますよ。」

「・・・。」

無視して他のところを探すことにした。
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