【設定②】わたしが初めて恋をした話。
卒業


 共同ライブから数日後のよく晴れた日のこと。
「お母さん、遅刻しちゃうよ!」
「はいはい……だって、化粧が決まらなくてっ」
「もう、いつもは寝坊しないのに今日に限ってお母さんは!」
 今日は私の卒業式だ。なのに一緒に行くお母さんは寝坊をしてこの有様だ……
「というか、なんでお父さん当事者じゃないのにもう行っちゃったんだ!」
「まぁ、来賓で行くから早く集合だって」
「いやいや、お母さん。私は卒業生なんだから」
 そんな言いあいをしながら家から出て、歩いて学校に向かった。学校に着いてお母さんとは向かう場所が違うので別れると、教室に向かう。


「おはようございます〜」
「あっ、おはよう。赤西さん」
「おはよう〜」
 挨拶をして席に座ると「美宙!」といつものように話しかけられる。
「ユミ。おはよう」
「おはよう、美宙。そうだ、赤西社長、今日いらっしゃるんだよね?」
「お父さんは来賓で来てるよ。後で挨拶に行く?」
「うん、そうする」


< 24 / 34 >

この作品をシェア

pagetop