暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「あなた、ウソ泣きも大概にしなさい。しらじらしいわね」
バカにするような言い方で、桃ちゃんが助けに入ってくれた。
しかし、これが逆効果だった。

「あなたこそ、いい加減にすれば。所詮あなたは、一条家から捨てられた子供のくせに」
「綾香さんっ」
咄嗟に私は叫んでいた。

たとえ気に入らない相手であっても、それは絶対に口にしてはいけない言葉だと綾香さんにだってわかっているはず。
さすがの私も我慢できず文句を言おうとした時、

バシャッ。
すぐ近くで水音が聞こえ、
「キャー」
悲鳴とともに、綾香さんの服が赤く染まっていった。

「お客様、大丈夫ですか?」
悲鳴を聞きつけて、奥の方から数人のスタッフが駆け出してきた。

事情を知らない周囲の人から見れば被害者は綾香さんで、私達が加害者に見えていることだろう。

マズいぞ。
どんどん大騒ぎになっていく。
ここは何とか納めないといけないのに・・・
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