暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「あの、私はブラウスとスカートだけを」
さっきから同じことを言い続けている私に、
「大丈夫ですよ。せっかくですから似合う服を見つけましょう」
と返事が繰り返される。

店の奥に連れて行かれてかれこれ30分以上。
大きな鏡のある巨大なフィッティングルームのような場所で数人の女性に囲まれ、ブラウスやスカート、ワンピースやスーツまでかれこれ10着近く試着した。

「背も高くてスタイルもいいし、切れ長な目元が印象的な美人さんだから、大人っぽい服がお似合いですね」
「そんなあ・・・」

自分でもかわいい服が似合わないのはわかっているけれど、大人っぽい服が似合うとも言われたことがない。
まあそもそも、いつもシンプルで無難な服ばかり選んでいるから、オシャレな服を着たこともないのだけれど。

「これが一番いいですね」
言われて鏡を見ると、今まで着たことないような淡いカラーのワンピース。

「ノースリーブはちょっと・・・」

確かにきれいな服だと思うけれど、水泳を続けていたせいで肩も腕もかなりごついから出したくない。

「大丈夫ですよ。ほらジャケットとセットアップにしてみてください」
「ああ、なるほど。でも、」
服についていた値札を見て手が止まった。

凄い値段。
普段買っている服とはゼロが二つ違う。
こんな服を買ったら私のお給料なんてなくなってしまうわ。

「すみませんけれど」
と断ろうとしたのに、
「とにかく見てもらいましょう」
あっという間に腕をとられてしまった。
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