暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
王子様が2人
7月に入り、色々なところで夏のイベントが行われる時期になった。
この季節になると去年までいた沖縄が懐かしくなるけれど、そんなことを言っていられないくらい忙しく時間は過ぎてく。
今日も副社長に同行して、有名ブランド主催のサマーパーティーにやって来た。
会場は一条プリンスホテルに負けないくらい格式のある有名ホテルの大広間。
大きな会場の正面にはステージがあり中央にはランウェイも設置されている。
どうやらパーティーの途中で新作の発表会も行われるらしい。

それにしてもすごい数の人だな。
着飾った紳士淑女で会場は溢れ、冷房が効いているはずなのに熱気が充満。
そのせいか、ところどころに置かれた氷のオブジェが良い清涼感を醸し出している。

「どうした、緊張しているのか?」
「ええ、まあ」
慣れないハイヒールのせいか、さっきから足が震えている。

日ごろからの付き合いもありうちのホテルにも入っているブランドだけに、創介副社長自ら出席することになったパーティー。本当は辞退したかったけれど、秘書しての同行をと言われれば断ることもできず、今ここにいる。

「君は、美味しいものを食べに来たつもりで楽しめばいい」
「はい。ありがとうございます」

この言葉が純粋に親切から出たものならとってもいい上司なのだけれど、そうとは思えないところが曲者。
仕事にも副社長の性格にもだいぶ慣れたとはいえ、時々発せられる強い言葉には未だに戸惑うことも多い。
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