薙野清香の【平安・現世】回顧録
(そうか……東條さまは大の猫好きだったものな)
清香は遠い昔に想いを馳せながらうっとりと目を瞑った。
東條――帝はその昔、自分の側近くにおくため、愛猫に官位まで与えていた程の猫好きだった。目に入れても痛くないといったその可愛がりようは、当時の貴人……ましてや帝としては珍しく。前世の清香は、東條の猫にまつわるエピソードを、いくつか後世に書き残していた。
「この間ミョウの写真を見せたら、東條君すっごく喜んでたから」
現世でも彼の猫好きは変わらないらしい。清香はふふ、と小さく笑った。
「そっか。喜んでもらえると良いわね」
「うん。そういうわけだから!崇臣さん、ここに置いていくね」
「あっ‼」
東條と猫のことに気を取られ、清香は元々の話の流れをすっかり忘れていたのである。
「じゃあ崇臣さん、姉のこと、よろしく頼みますね」
芹香は何やら含みのある笑みを浮かべながら、バタンとドアを閉めた。
「…………」
「…………」
何とも言えない奇妙な沈黙が、清香と崇臣の間に流れる。
清香は遠い昔に想いを馳せながらうっとりと目を瞑った。
東條――帝はその昔、自分の側近くにおくため、愛猫に官位まで与えていた程の猫好きだった。目に入れても痛くないといったその可愛がりようは、当時の貴人……ましてや帝としては珍しく。前世の清香は、東條の猫にまつわるエピソードを、いくつか後世に書き残していた。
「この間ミョウの写真を見せたら、東條君すっごく喜んでたから」
現世でも彼の猫好きは変わらないらしい。清香はふふ、と小さく笑った。
「そっか。喜んでもらえると良いわね」
「うん。そういうわけだから!崇臣さん、ここに置いていくね」
「あっ‼」
東條と猫のことに気を取られ、清香は元々の話の流れをすっかり忘れていたのである。
「じゃあ崇臣さん、姉のこと、よろしく頼みますね」
芹香は何やら含みのある笑みを浮かべながら、バタンとドアを閉めた。
「…………」
「…………」
何とも言えない奇妙な沈黙が、清香と崇臣の間に流れる。