別冊・ダブルブルー
「…寂しいけど、青さんのお仕事してる姿も大好きだから、がまんします」


ありがとね。


強がりを含む私のコトバに、絶対に気がついているであろう青さんは、たったひとこと、私に返した。


余計なコトバは、ここには必要ない。


「じゃあ、入刀は蒼ちゃんにしてもらお」


言いながら、青さんが私に電動シェーバーを手渡した。


3日間、いっしょに過ごせた痕跡がなくなるのは寂しいけれど、この3日間、青さんの不精ひげを見られたのは私だけ。


他のひとになんて、見せるもんか。


そんな気持ちで、シェーバーを青さんの顎に沿わせた。


見る間に、普段の青さんに戻ってゆく。


その変化を見届けられるのが、嬉しい。


ん。完璧。小さく、つぶやいたら鏡越しの青さんと目があった。






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