シンデレラはもう帰れない。

灰野(はいの)さん、チョコ渡しといてなんだけど、俺一個貰ってもいい?」

「あ、うん」

 藤原(ふじわら)くんは袋の中から丸いイチゴのホワイトチョコレートを左手で一個取ると、わたしの口の中に入れる。

 え、自分が食べるんじゃ……?

「どう? 美味しい?」

「うん、甘い…」

 微笑むと藤原(ふじわら)くんはわたしの唇を塞ぐ。

 甘いオレンジと深いブルーが混ざり込んだキラキラな光がわたし達を暖かく包み込む。

 そして……ふわっ。

 少し空いていた窓から春風が入り、カーテンがまるでドレスのように広がった。
< 15 / 17 >

この作品をシェア

pagetop