シンデレラはもう帰れない。
「灰野さん、チョコ渡しといてなんだけど、俺一個貰ってもいい?」
「あ、うん」
藤原くんは袋の中から丸いイチゴのホワイトチョコレートを左手で一個取ると、わたしの口の中に入れる。
え、自分が食べるんじゃ……?
「どう? 美味しい?」
「うん、甘い…」
微笑むと藤原くんはわたしの唇を塞ぐ。
甘いオレンジと深いブルーが混ざり込んだキラキラな光がわたし達を暖かく包み込む。
そして……ふわっ。
少し空いていた窓から春風が入り、カーテンがまるでドレスのように広がった。