シンデレラはもう帰れない。


 高1の夏休み前。
 マドンナに耳元で悪口を言われたりしていて、
 教室にいずらかったわたしはよく屋上階段で休んでた。

 マドンナに悪口を言われるようになった理由は、
 わたしがよく藤原(ふじわら)くんを目線で追っていて、
 好きな気持ちに気付いたからだと思う。

 藤原(ふじわら)くんとは毎日挨拶を交わすだけ。
 ただの同級生。

 それでもぼっちなわたしにとっては救われてて、
 毎日高校に通うのが楽しくなった。

 だから藤原(ふじわら)くんと、どうこうなる気はなかった。

 それなのに。

 藤原(ふじわら)くんが階段を上がってきて、

『俺も休もうかな』

 そう言って隣に座ってきた。

 藤原(ふじわら)くんの肩が触れそうで触れなさそうな距離。

 授業が始まるチャイムが鳴っても魔法は解けず、
藤原(ふじわら)くんはわたしの隣に座ったまま。
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