シンデレラはもう帰れない。
*

灰野(はいの)さん、こっち」

 藤原(ふじわら)くんと廊下側の一番後ろまで移動する。

「あ」
 わたしは両目を見開く。

 ロッカー横にある黄色のビニール袋がかけられた白いゴミ箱の中に黒いローファーが捨てられていた。
 左右にリボンが付いてるから間違いない。

「これ、わたしのローファー…」
「なんで…」

「…あやりが捨ててるの偶然見たんだ」

「え…」

「ごめん、俺のせいで」

 違うよ。
 藤原(ふじわら)くんは何も悪くない。
 悪いのはこんなぼっちな身分で藤原(ふじわら)くんを好きになったわたし。

 首を横に振って否定すると、
 藤原(ふじわら)くんがゴミ箱に右手を突っ込む。


藤原(ふじわら)くん!? 手汚れちゃうよ!?」

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