シンデレラはもう帰れない。
藤原くんは無視してローファーをゴミ箱から右手で取り出す。
「汚いのに…ごめんね」
「汚ねぇのは捨てた奴」
「お前は綺麗だよ」
ドキッとすると、
藤原くんはわたしにローファーを手渡す。
「あ、ありがとう」
「これで帰れる…」
「灰野さん、もう一個渡してもいい?」
真剣な顔……。
もう一個?
「何…?」
藤原くんはイチゴのホワイトチョコレートが入った袋を差し出す。
「え? わたし先月何も渡してな…」
「これ、俺の気持ちだから」