鬼上司は秘密の許嫁?!溺愛されるなんて聞いてません

部長とニコイチ

朝が来てしまった…。

怠い体を叱咤して準備を整え家を出た。
朝食は毎日しっかり摂る派の私だけど、今朝はどうも食欲が湧かない。
なのでいつもより少し早目の出勤。

途中のコンビニで何か買って、会社で食べよう。

とぼとぼ重い足を動かし前へと進む。

それにしても昨日は大変だったな―と、私は歩きながら思い出していた。

あれから西院《さいおん》部長は道上《みちのうえ》さんに挨拶をしたんだけど、その時の道上さんの驚きようは本当に凄かった。

顔を赤くして「わぁっ、まさか部長だったなんて!いい歳して何だかドキドキしちゃうわぁ!今日からもっと仕事がんばれそう!!」なんて私にコソッと言ってきた―明らかに部長に聞こえていたけども。
思わず反応が気になりチラッと見れば、それに対して西院部長は涼しい顔で「よろしく」と返した。
部長のそっけない態度に心配して道上さんを見たけど、アイドルかイケメン俳優に会ったみたいに顔が既にポワワーンとなって全く気にしていなかった。

そんなお互いの自己紹介も束の間。
部長は直ぐに私と道上さんにこう言った。

「この店を潰したくなければ、新しい視点を持って店舗運営に全力で向き合え。今のままならここは潰す」
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