ひと駅分の彼氏
それに黒いTシャツとグレーのパーカー姿だ。


真琴は少しだけ悲しそうな表情を浮かべる。


「もしかして学校に来られないの? 突然いなくなっちゃったから、退学になったとか?」


「……そんなんじゃないよ、紗耶」


「じゃあ、どうして?」


そう質問する間から、真琴は出口へと向かっていってしまう。


「ちょっと待って真琴!」


慌てて立ち上がりかけたとき、ドアが閉まった。


電車は大きく揺れてそのまま席へ座り込む。


待って、待って真琴!


車窓からホームを確認するけれど真琴の姿は人並みに紛れてすぐに見えなくなってしまった。


そして今まで真琴が座っていた場所には、見知らぬサラリーマンが座り、雑誌を読み始めたのだった。
< 22 / 108 >

この作品をシェア

pagetop