君の愛に酔う~藤の下で出会った2人の物語~
「さぁ、ジゼル様。足元に気をつけて。長旅ご苦労様でした。到着です。」
エヴァンズがジゼルをエスコートしてくれる。
馬車を降りたジゼルは、その先で待つ男性の姿を見つける。
その男性の姿を見ただけで、なぜだか涙が溢れた。
(私と同じ赤い髪。あの方が、お母様の弟で私の叔父様のウィリアム国王陛下だわ。初めてお会いするというのに、とても懐かしい。)

その男性もジゼルと同じように目に涙を浮かべて近づいてくる。
初対面の叔父と姪はお互いが名乗りあうより先に、涙の抱擁をかわした。

「君がジゼルだね。私には一目でわかった。私はずっと君を探していたんだ。」
「私もウィリアム国王陛下のことはお母様に聞いていつかお会いしたいと思っていました。こうしてお会いできて夢のようです。」
「それは私もだよ。さぁ、早く城へお入り。」
ウィリアムはジゼルの肩を抱いて城の中へと入った。

「ここはね、その昔ジゼルの母上が使っていた部屋なんだ。今日からはジゼルが自由に使いなさい。でも、まずはお風呂に入らないとね。美しい髪を取り戻しておいで。」
ウィリアムに案内された豪華な大理石の浴室でメイドたちがジゼルの髪を洗ってくれる。
特別な薬剤で染粉を落とし、高価なトリートメントを惜しみなく使って髪に潤いを取り戻していく。
入浴後に丁寧にブローすれば、たちまちジゼル本来の豊かな赤い髪が蘇った。
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