君の愛に酔う　　　　　　～藤の下で出会った2人の物語～
ユリウスがウィリアムへ挨拶をしていたちょうどその頃。

ジゼルは侍女に手伝ってもらって、マスカレードのための準備をしていた。
久しぶりのドレスアップにジゼルの心も浮き立つ。
「あまり気乗りじゃなかったけど、いざこうやってドレスアップするとウキウキするわね！」
「もちろんです！今日はウィステリア中の女の子が一番オシャレする日ですからね。毎年いろんな恋のドラマが生まれてるんですよ。私の友人でも、マスカレードで恋人を見つけた子が2人います！」
「まぁ、2人も！マーガレットにもそういう出会いはあったの？」
「マスカレードではないですね～でもこの後、彼氏と少しだけ参加する予定です！」
「え、恋人がいるの？」
「実は、3カ月前くらいにパブで知り合って。この前告白されて、付き合い始めたばかりなんですけど。」
「素敵！じゃあこんなところで私のお手伝いしてる場合じゃないじゃない！あなたもおめかししないと。」

同じ年頃の女の子とオシャレや恋の話をするのは
ジゼルにとって初めての経験だ。
マーガレットやマーガレットの友人たちのように、
自分にもそんなワクワクする素敵な出会いがあるのだろうか？
そんなことを思うとき、ジゼルの頭に浮かんでくるのはユリウスの顔だった。
別れて3年が経つというのにいまだに忘れられずにいる。
< 203 / 247 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop