君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
ユリウスがジゼルとの結婚を首を長くして待っている間、
ジゼルも忙しい日々を送っていた。

大学の最終学年は本当にハードな毎日だった。
仲間たちと一緒に研究に追われる日々。
ジゼルは食物の遺伝子組み換えに関する研究を行うゼミに所属していた。
研究室を選ぶとき、せっかくならマグノリア王国に役立つことを研究したいとジゼルは考えた。
そこで、マグノリアのやせた土地でもしっかりと育つ種を
生み出す技術を身に付けることが出来る研究室を選んだのだった。
田んぼや畑で土まみれになる姿は王女のイメージとはかけ離れていたが、
そうやって頑張ったおかげで優秀な成績を修めて卒業することが出来た。

ユリウスとはあのマスカレード以来、
結局一度も会っていない。
お互いが忙しすぎて都合がつかなかったのだ。
どんなに熱々のカップルでも会えない時間が長すぎると熱が冷めてしまうものだが、
文明の発展が2人を味方した。
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