君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
婚姻式と王妃即位式は城に併設している教会にて、
グラディオーレン大主教によって執り行われた。
荘厳な教会に美しい讃美歌が響き渡り、静々と進行していく。

ユリウスとジゼルがそれぞれ婚姻証明書に署名を行い、
証人としてグラディオーレン大主教が
神の導きの元、二人が正式に夫婦となったことを宣言した。
教会内には祝福の拍手が鳴り響き、ジゼルは思わず微笑んでしまった。
(真剣な顔で儀式に臨むように言われていたのに~)

婚姻式が終わると休む間もなくそのまま王妃の即位式へと移る。
ジゼルは祭壇の前で膝まづいて手を組み、
王妃として生涯を国のために捧げるという誓いを立てる。
その言葉を受けて大主教がジゼルに祝福の言葉を送ると、
儀典長が恭しく捧げ持っている王妃の宝冠を受け取り、ジゼルの頭に載せた。
「ここに、ギーゼラ・フォン・イーリスがマグノリア王国王妃に即位されたことを宣言する!」
大主教の高らかな宣言で教会内からは歓声が上がった。

同じく宝冠を被ったユリウスがジゼルの手を取り、祝福に応えながら教会を後にした。
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