君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
盛大な結婚式の翌日も、
ユリウスは通常営業だった。

いつもと変わらず5時ぴったりに目覚めると、
週に何回か顔を出す騎士団の朝練に顔を出す。
颯爽と現れたユリウスを見て、既に集まっていた団員たちは驚愕の眼差しを向けた。
「今日もいらっしゃったんですか?」
ロートシルトが驚きながら前に出てくる。
「そんなに驚くことか?」
「いえ、そんなことは。さすがに今日は来られないだろうと思っておりましたので。」
「毎日執務机に張り付いていると、身体が凝り固まるのだ。ぶつぶつ言ってないでとっとと始めろ。」
(俺が陛下だったら、あんな美人な王妃をおいて朝練なんて絶対しないけどな。ましてや初夜だぞ!)
ユリウスにはとてもじゃないが直接言えない言葉を心の中に吐き出し、
ロートシルトはみっちり1時間、朝練で部下たちをしごき上げた。

「ラーデマッハー大尉」
朝練終了後、ユリウスは王妃の護衛を命じている女性騎士に声をかける。
「身なりを調えたら、私の居室でまだ休んでいるだろう王妃を彼女の部屋に送り届けてくれ。彼女も疲れているだろうから、悪いが彼女が起きるまで待っていてほしい。」
「承知いたしました、陛下。ではそのようにさせていただきます。」
「頼む。私はこれから昨日一日で溜まった仕事を片付けなければならない。」

「結婚式の次の日ぐらい、王妃様とゆっくりされたら良いのに。」
姿が見えなくなった主君に向けてクララは思わずつぶやいた。
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