新そよ風に乗って ④ 〜焦心〜
翌朝、会社に行くと、もうすでに高橋さんも中原さんも席に着いていて、朝の挨拶を交わして朝礼が終わって今日のスケジュールを見ていると、高橋さんと10時半からの会議に一緒に出席することになっていた。
大変だ。ちゃんと、書類纏めておかなくちゃ。
「矢島さん。その机の上に置いてある会議に持って行く資料、12部ずつ用意しておいてくれるか?」
「はい。承知しました」
コピー機の順番待ちをしていると、ちょうど黒沢さんがコピーを終えて後ろを振り返った際、目が合ってしまった。
「お、おはようございます」
「あら? 産休に入ったとばっかり。ねえ?」
産休って……。
黒沢さんの次にコピーを始めていた土屋さんにそう同意を求めると、土屋さんが早々にコピーを終えて黒沢さんの直ぐ隣に並んで私を見据えた。
「あら、本当。てっきり、有給休暇の消化に入るのかと思っていたのに」
朝から、何だか嫌な気分だな。
でも、高橋さんと約束したんだ。たとえ、その約束が上司としての考えで命令だったとしても、私は高橋さんの部下なんだから。だから、守らないと……。
「何で、黙ってるの?」
「何とか、言ったら? それとも、図星だから言い返せない?」
見ざる、聞かざる、言わざる。
そう、呪文のように心の中で唱えていた。
「コピー終わりましたから、どうぞ」
エッ……。
「あっ、すみません。ありがとうございます」
ちょうど、前の人が声を掛けてくれたので、直ぐにコピー機の方へと歩み寄った。
「ちょっと、何?」
「スルー出来るほど、偉くなったのかしら?」
それでもコピーをする手が震えて、心臓がドキドキしているのが分かる。
「ちょっと、何? この1ヵ所だけウザ過ぎる人口密度。通路をデカい図体並べて占拠してたら、通る人の邪魔なんだけど」
だ、誰?
後ろから聞こえたその声の主に、黒沢さんと土屋さんが怖い表情で睨み付けているので、思わず振り返ると、まゆみが立っていた。
「あら? 初めて見るわ。お局二大巨頭。記念に拝んでおこうかしら。クワバラ、クワバラ……」
「まゆみ……」
大変だ。ちゃんと、書類纏めておかなくちゃ。
「矢島さん。その机の上に置いてある会議に持って行く資料、12部ずつ用意しておいてくれるか?」
「はい。承知しました」
コピー機の順番待ちをしていると、ちょうど黒沢さんがコピーを終えて後ろを振り返った際、目が合ってしまった。
「お、おはようございます」
「あら? 産休に入ったとばっかり。ねえ?」
産休って……。
黒沢さんの次にコピーを始めていた土屋さんにそう同意を求めると、土屋さんが早々にコピーを終えて黒沢さんの直ぐ隣に並んで私を見据えた。
「あら、本当。てっきり、有給休暇の消化に入るのかと思っていたのに」
朝から、何だか嫌な気分だな。
でも、高橋さんと約束したんだ。たとえ、その約束が上司としての考えで命令だったとしても、私は高橋さんの部下なんだから。だから、守らないと……。
「何で、黙ってるの?」
「何とか、言ったら? それとも、図星だから言い返せない?」
見ざる、聞かざる、言わざる。
そう、呪文のように心の中で唱えていた。
「コピー終わりましたから、どうぞ」
エッ……。
「あっ、すみません。ありがとうございます」
ちょうど、前の人が声を掛けてくれたので、直ぐにコピー機の方へと歩み寄った。
「ちょっと、何?」
「スルー出来るほど、偉くなったのかしら?」
それでもコピーをする手が震えて、心臓がドキドキしているのが分かる。
「ちょっと、何? この1ヵ所だけウザ過ぎる人口密度。通路をデカい図体並べて占拠してたら、通る人の邪魔なんだけど」
だ、誰?
後ろから聞こえたその声の主に、黒沢さんと土屋さんが怖い表情で睨み付けているので、思わず振り返ると、まゆみが立っていた。
「あら? 初めて見るわ。お局二大巨頭。記念に拝んでおこうかしら。クワバラ、クワバラ……」
「まゆみ……」