竹取り物語

くじ

宝くじは 発表までタンスにしまって置くことにした。
日にちが立ち ふと宝くじのことを思い出した。

彼女に内緒で買ったから そーと 見つからないようにタンスから出してみた。

当選番号発表日は過ぎていたが 携帯サイトで見られるのを思い出した。

早速 サイトに接続して一袋目から調べ始めた。

突然 手が止まった。
もう一度 確かめるように 1字1字 見直した。

当たっている。
体の中から 熱いものが湧いてきて 手の震えが止まらない。

二億円である。

夢じゃないかと 頬をツネッてみる。
痛い、正しく二億円がここにある。

高ぶる気持ちを 抑えながら 残りの袋も。

あるではないか 1億円。
夢ではないかと 今度は頭を叩いてみる。
痛い。

震えが止まらない。

嬉しさと恐怖に似た感情から 異常と思う薄ら笑いの顔になっているのを修二は知るよしもなかった。

どのくらい時間が過ぎたのか 彼女の声に我に帰った。

二億円の一枚を持ち 彼女の元へ。
『お母さん! えらいこっちゃ! 当たったよ!』
彼女は何を訳の分からないことを言ってるのか、キョトンしてる。
『母さん落ち着いて 落ち着いて!』動転してる修二に。
『アホ!』の一喝。

『に に に 二億円の当たり券だ!』の上ずる言葉。 半信半疑の彼女に 携帯と券を渡した。

冷静に確認する彼女。

< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop