「桃先輩は可愛い」【完】
「え、椿じゃん!」
声をかけてきたのは、他校の制服を着ている集団。
男子2人、可愛い女の子3人のグループ。
「おう。」
冬野椿は一体どれだけ友達が多いのか。
…どんだけ可愛い子ちゃんの友達が多いのか。
また黒い感情が心を包み込む。
「水曜日、電話してると思ったら突然いなくなったから何事かと思ったよぉ!そのあとも連絡無しだし〜」
私なんて視界にいないかのように、茶髪ギャル風の女の子が冬野椿に話しかける。
…バカでもわかる。この子は冬野椿に好意がある。
「椿の生歌聞きたかったし〜」
「そうだぞ!」
「…あー、わりぃ。」
あからさまに動揺している様子の冬野椿。
先週の水曜日って私がおじさんにつけられた日だ。
冬野椿はこの人たちと遊んでたんだ。
「お前最近付き合い悪いよなぁ〜」
ちょっとやんちゃそうな男の子が、いじけたように言う。