甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
タッと私の前に到着した十和は,そこで止まることなく……



「って,ええ?!」



もーちゃんが驚くほど勢い良く,私に抱きつく。

頭の横に,頭を突き刺すようにして。

ふわりと手まで使われた。



「久しぶりっ」



や,昨日会ったよね……?!

驚いて所在をなくした両手が宙ぶらりんになる。

密着した身体に,熱が回っていく。

初めて同じ床に足を付けた十和は,案外身長が高くて。

私は身をよじりながらのけ反った。



「~っ……~」



もーちゃん,たすけて……っ

右腕をどうにか動かして,もーちゃんの袖を引く。

十和しか見ていなかったのであろうもーちゃんは,反応の無い私の小さな動きに,ようやく私の表情を見て。



「ぇ……あゆ……」



驚いた顔をした。
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