甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
すると,十和はもう一度笑い直して



「あゆ!」



そう,こちらに駆け出した。

面食らった私は,開いた手を閉じて,少し下げる。

良いんだけど,別に間違っては無いんだけど!!

何? その含みのある感じは!

分かっているのか分かっていないのか,盛大に憶測が広がって行くのが私にだって分かった。

色んな種類の視線が,とてもいたい。

取り敢えず笑みを顔に張り付けながら,もーちゃんを見る。

彼女もまた,私を上から下まで眺めると。

呼ばれてるよ? と呑気に指を指して,その後パチリと瞬いた。

そうなんだけど,そうなんだけどね?!

もーちゃんも十和も,何と言っていいか分からないこのもどかしさ。

どっから突っ込めばいいの,これ!

皮肉にも,周りのざわめきだけが私の正しさを証明していた。

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