甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「でも,あゆに会いに来たのはほんとだよ」



え……?

猫騙しでも喰らったような気持ちで向き直れば,十和は私だけを見つめて,楽しそうに目を細めていた。

悪戯に,特別のように言われて。

私は反応に困る。

言葉に窮すると言うか,瞳をあわせていられないと言うか。



「あゆ,ちょっと変だから。見飽きない」



何でもっと堂々と話さないんだろう。

さっきからこそこそと,私まで釣られてしまうから。

悪いことでもしているようで,居心地が悪い。

しかも……私は玩具か愛玩動物のような扱いを受けている気がする……

どんな立場で喋ってんの???!

と思わずにはいられない。

なのに。
怪訝に思って見返しても,害意なんてさらさらない,本当に楽しそうな顔をしているから。

納得は行かないものの,怒れないんだ。
< 18 / 65 >

この作品をシェア

pagetop