甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「や,いいけど! 
……や,やっぱりだめ! 校則知ってる? この学校,スマホ出したらだめなんだよ!」



周りの目もこんなに沢山あるし,人が集まってて,教師が何事かと顔を覗かせるかもしれない。

慌てて十和のスマホを隠しながら,私は動いた。



「うわ……出た。変なところで真面目なのよねぇ」



出たって失礼な!

パッと横を見て,あっと思う。

まーちゃん,居たんだった……

それもずっとで,まーちゃんは何も変わってないものだから。

失礼なのは私の方だとしゅんとした。

何故かまーちゃんに頭を撫でられつつ,十和を見ると。

十和まで驚いた顔をしている。

私は表情豊かだなと思った。



「あ,えーと。もうすぐ昼休み終わっちゃうから……見逃してくれませんか?」



目すら向けられていない廊下の人達まで頷いていて,何だかずるいぞと思う。

そんなまーちゃんを見つめる十和が,やっぱり私と話している時より違和感で。

私はぎゅっとまーちゃんに抱きついた。

これよこれ,この安心感。

再開されたまーちゃんの柔らかい撫で方が,とても気持ちいい。

むふふと今度は十和を忘れそう。



「じゃあはい,そんなあゆに変わって私があゆのあげる」
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