甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「ご……めん」
沈黙が流れたのち,無理矢理絞り出した言葉。
らきの目が揺れているように見えるのは,自分の目が揺れているから。
適当に考えて,答えたわけじゃない。
だけど。
私はそうじゃない。
だから,答えは最初から1つしかなかった。
「じゃあ……あいつの事は?」
「十和……は,友達だよ,普通に」
「目,逸れるのはなんで? 俺,1度くらいフラれたって,それでもあゆがいい。あゆが,好き」
そんな,そんなこと言われても。
らきは,友達だよ。
誰がどうとかじゃない。
らきが嫌いなわけじゃない。
恋愛的に想うとか,無理だもん。
らきにときめいた事なんてない。
らきを好きなんて……
「俺と,付き合ってください」
ここは,カラオケで。
誰に聞かれるかも分かんないような,普通のドリンクバーの前で。
通いなれたこの場所で,誰かからこんな告白を受けるなんて,思っても見なかった。
なんて,言えば……
「……だめだよ,あゆ。ちゃんと断ってくれないと。あゆは,あゆはおれのでしょ?」
腹部に手が回って,リンゴジュースを持った手は掴まれて。
吸収するように,抱き締められる。
……十和?!
全然,気付かなかった。
ジュースだってとっくに取りに来て,用事なんてないはずなのに……