スキがない総長の大胆な溺愛
調子悪い?と顔を覗くと、優利は首を振った。

そして「俺はな、明里」と切ない笑みを浮かべる。



「俺は中学の時から明里を………うん…。妹みたいだなって、可愛いなって思ってた。

家族みたいに思ってたから、朝起こしたり、晩飯作ったり…そんな風に明里の世話をしたかったんだと思う」

「そっか…正直に話してくれて嬉しかった。また、お隣さんとしてよろしくね」



ニコッと笑って、手を差し出すと…

優利も、太陽みたいに眩しく笑って「おう!」と私の手を握り返した。



「じゃあ、私行くね」

「彼氏によろしくな」


「はーい……って、もう!優利に言われると恥ずかしいからやめてっ」

「はは、悪い」



私の部屋のドアが閉まる直前に、優利に向かって手を振る。

そしてバタンと。

ドアを閉めた。



「……」



そのドアを見守る優利。

さっきまで浮かんでいた太陽のような笑みは、もうなかった。

その代わりに…



「夜野…俺の代わりに刺された恩は、今…返したからな」



優利はゆっくりと目を閉じる。

一つの想いに、蓋をするように。


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