スキがない総長の大胆な溺愛
「キスに慣れる練習だよ」



そんな取ってつけたような理由を強みにした蒼羽は、お互いの唇が当たるまで少し…という所まで来て、そして…

ピタリと止まった。



「…え?」

「世界一好きな彼女に骨抜きにされてるって…どうしたら明里に伝わる?」

「ほ、骨抜きって…」



顔を赤くして、冗談っぽく照れる私。

そんな私に…蒼羽はたたみかける。

不敵に、大胆に。



「また押し倒していい?」

「え、」

「前、廃墟でしたみたいに」



密着できる所まで密着してくる蒼羽に、私の全ての感覚が持って行かれる。

押し倒すなんて、いいわけないのに。

上手く、一切の隙なく、

私の逃げ場を、容赦なく潰していく。



「か、片付けが、まだあるし、」
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