ひだまりで誓う桜色の愛
君を想う雨夜
「コウイチさん、明日はどうか晴れにしてください」



ホワイトデー前夜。

しとしとと降る雨の音をBGMにして、窓際に吊るしたてるてる坊主に手を合わせた。

机に戻り、再びティッシュを丸めて油性ペンを走らせる。



──コンコンコン。



「はーい」

「お兄ちゃん、開けていい?」

「ちょっと待って」



首に糸を巻きつけていたら妹に呼ばれたので一旦中断。席を立ってドアを開ける。



「何?」

「高校生の時に使ってた参考書ってまだある?」

「参考書? あるけど、勉強するの?」

「うん。学校なくて暇だからさ。なんなら教科書とノートも貸して」

「はいはい。後で持ってくるから待ってな」



そう言い残してドアを閉め、ウォークインクローゼットへ。引き出しを片っ端から開けて探す。


理空(りく)が使うかもと思って取っておいたんだけど……どこにしまったっけ。

確か学校類の物は1つにまとめてた気が……。



「あっ、あったあった」
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