とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
現実と向き合う
あれから3年の月日が経ち、季節は巡ってまた「春」がやってきた。


私の大好きな季節の到来。


太陽の優しい光に照らされて、桜の花もそろそろ満開になろうかというポカポカと温かい日々。


たまたま自分の名前にも「桜」という漢字が入っているけど、実際、桜は私の1番好きな花だ。


桜木 琴音(さくらぎ ことね)、25歳。


162cmで体型は普通だと思うけど、美容師の友人にスタイリングしてもらった髪型はかなり気に入ってる。


耳から下に向かって緩くかけたシンプルなパーマスタイルのロングヘアで、ラベンダーベージュが春らしくて嬉しい。


そんな私は、今、外車の販売店「AYAI」で正社員として受付、事務などの仕事をしている。


広くて洗練されたショールーム、そこには何千万もするようなピカピカの外車がいくつも並んでいる。


その横に立つと、私の笑顔なんてかすんでしまいそうだけど、一緒に働く他の女性の先輩達はとても美しい人ばかりで……


最初はかなり場違いなところに就職してしまったかと思ったけど、みんなすごく良い人で、すぐに馴染むことができた。
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