とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「うん、碧、お願い。絵麻ちゃん、気をつけて帰ってね」


私は、琴音ちゃんには何も返事をしなかった。


店を出ても、碧君はしつこく私に着いてくる。


「もう1人で帰れるから。ほっといて」


「ほっとけないよ。お前は酔うと何するかわからないから」


「何よそれ! 私が何をするっていうの? そんなに私が嫌い?」


「バカ! 嫌いなわけないだろ! 俺……心配なんだよ、絵麻のことが」


碧君は真剣な顔で私を見た。


「……な、何よ。碧君は琴音ちゃんを心配してればいいでしょ?」


「……いいから、家まで送ってく。行こう」


碧君……


どうしてそんなに優しいの?


でも、誰かが側にいないと泣いてしまいそうだから……


今は、碧君に近くにいてほしいと思った。


龍聖君……


どうして私じゃダメなの?


考えちゃダメなのに、あの眩しいくらいにカッコいい笑顔を思い出してしまう。


私は、龍聖君が好き。


ずっと、ずっと、これからも。
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