とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「大丈夫?」


「あっ、は、はい」


「……大丈夫なわけないよね。心配だけど、きっと大丈夫だから、信じていようよ。君の……琴音ちゃんの大切な人に何かあるわけないんだから」


綾井店長……


必死に何か言って落ち着かせようとしてくれる優しさが、今の私にはすごく有難かった。


でないと……取り乱していたかも知れないから。


「ありがとうございます。そうですよね、大丈夫ですよね」


「ああ、大丈夫だよ。信じよう」


病院にはすぐに到着して、私は店長と急いで手術室を探した。


「鳳条さんの奥様ですか?」


待ち受けていた看護師さんが声をかけてくれた。


「は、はい。あの、りゅ……主人の容態は……」


「主人」なんて……初めて言った。


こんな時に使いたくなかったのに。


「今、手術中です。こちらへ」


案内された場所、そこにはスーツ姿の男性がいた。
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