とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「や、やめてよ。本当に……変な子なんだから。でも……」


「ん?」


「が、外国なんて、慣れないところなんだから、き、気をつけて行きなさいよね。危ないこととか多そうだし……向こうはみんな拳銃とか持ってるんでしょ?」


「大丈夫だよ、私の暮らす場所は安全だから。そこまで心配しなくていいからね。でも……すごく嬉しいよ。ありがとうね、行ってくるね」


涼香姉さんの本当の優しさ、ひとつ見つけた。


まだまだ知らないことがたくさんあるんだろう。


これからもっと、涼香姉さんのことを知っていきたいよ。


いやだ……


涙が止まらない。


嬉し涙って、どうやって止めるんだっけ……


とりあえず、庭に出て深呼吸してみる。


そのまま空を見上げたら、そこには雲ひとつない青い空が広がっていた。


陽の光が、晴れ晴れとした私の心に優しく降り注ぐ。


お父さん、お母さん……涼香姉さん。


太陽は、私達の人生を平等に明るく照らしてくれてる。


だから、みんなきっと……幸せになれる。


桜木家をずっと見守ってきた桜の木も、上手く交われなかった家族の再出発を、誰よりも祝福してくれてる……そんな気がしてならなかった。
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