とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
確かにこの先、いつかは結婚しないと両親に心配をかけ続けることになる。


1人息子だから孫の顔を見せることが親孝行の1つだと理解はしながら、いつになればそれを実現できるのか……


きっと、それは難しい。


なぜなら俺は、もうずっと何年も……彼女だけを想い続けているから。


「桜木 琴音」


彼女をただ一途に想うことは、単なる義務ではない。


自然に湧き上がるこの想いを消すことなんて、絶対にできない。


仕事に集中してる時でさえ、ホテルのお客様の後ろ姿を琴音だと勘違いしたり、時には琴音の声が聞こえたような気がしたり……


もはや俺は「琴音」に取り憑かれているのか? 


あまりにも長い間この想いを隠し続けていた結果、俺の中ではもうそんなレベルまで達しているのかも知れない。


これは、かなりの重症と言えるのか……


もし恋愛の名医がいるなら診察してもらいたいくらいだ。


この先どうすればいいのか「名薬」があればいいのに。
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