幼馴染みの秘めた溺愛  ~お前は女神でヒーローで
幼馴染みは私のヒーロー
──樹王とのプチハプニングから一か月ほど経った、八月のある日の朝のこと。
お母さんが作ってくれた朝食を三人で食べている時に、「あ、そうそう」と樹王が話し出した。

「最近、市内で小火(ぼや)が続いてんだよ。俺ん家の原因も近くの小屋の放火だったし、おばちゃんと美桜も気を付けてな」

「ニュースでもやってるわよね、怖いわぁ。この家も古いからねぇ…火が来たらあっという間よね」

「お母さんは寝室も一階だから、火に気付いたらすぐ逃げてね」

「美桜もな。火も怖いけど一酸化炭素中毒もおっかねぇから。美桜の部屋は二階だし、いざって時は窓からカーテンとか使って外に逃げる手も考えとけよ」

「…そうだね…わかった」


「ん?どうした美桜、体調悪いのか?」

「あー…大きな仕事が終わったからね、ずっと張りつめてた気が抜けて疲れが出たのかも」

「どれ…あ、熱いな。これ熱あるぞ」
私のおでこに手を当てた樹王が言った。

「風邪かなぁ…」

「薬飲んで今日はしっかり休めよ」

「うん…ありがと。元気な時ならまだしも体調が悪い時に火事があったらこわいなぁ…」

「その時は俺が絶対助けるから」

「まぁー頼もしい!樹王くんも、もう一人前の消防士さんだものねぇ」

「いや、俺はまだまだ半人前だよ、おばちゃん。もっと頑張らねぇと」

「ありがと…樹王も気を付けてね」

「あぁ、ありがとな」



──そんな会話をした日の夜中に…まさかの悪夢は起きた。
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