遊木くんの様子がおかしい




「三島の怯える顔が面白くてつい」


「……意地悪だなぁ」


「あはは」




小さな声で笑う遊木くんを、むーっと睨む。


……まぁ、いいけどさ。

結局当てられなかったし。




「あ、遊木くんってさ」


「あん?」


「鹿野くんと仲良い?」




ふと思い付いたことを聞いてみた。

フレンドリーで友達が多い遊木くんならもしかしてと思って。


遊木くんは私を見つめたまま「あー」と声を出す。




「話したことはあるけど仲良いってほどじゃない」


「あぁ…そっか」




さすがにないか。

まぁそれで仲良かったとしても特に何も無いんだけどさ。




「…なんで?」


「いや、ちょっと気になって」


「好きなん?」





え。


と、思わず大きな声が出てしまって。


慌てて前を見ると、先生がこちらを少しだけ睨んでまた黒板に向かった姿が見えた。




……いやいや、遊木くん。

突然何を言い出すんですか。




「…違うよっ」


「あ、そう」




否定すると、聞いてきた本人はそんな風にあっさり返事してみせた。

そして「しー」っと口に指を当てて、すんなり授業に戻ってしまう。



……えぇ。

さっきの質問は…?


ねぇ、

なんだったの!?


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