もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 悟ったように大和が眉根を寄せるのを見て、思わず目を逸らす。

「姉ちゃんはそれでいいのか?」

「うん。いい」

 大和の質問がなにを指しているかなんて、私にはわからない。

 でもなにを問われようと私の答えは同じだ。

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

 私に聞きたいことが山ほどあるだろうに、大和はため息をひとつつくだけで自分の疑問を呑み込んでくれた。

「どういう経緯でこうなってるのか、もういいけどさ。自分の気持ちを我慢しすぎるなよ。いい加減、他人じゃなくて姉ちゃん自身の幸せを優先しろ」

「そういうわけにはいかないよ。一番に考えなくちゃいけないのは優史だし」

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